2023.08.09

浜名高校 令和5年度1学期終業式に寄せて


令和5年度1学期終業式に寄せて
 1学期の終業式を迎えるにあたり、校長として皆さんにお話しさせていただきます。この1学期、私たちは様々な経験を通じて成長しました。授業や部活動など、自身の目標に向かって一生懸命取り組んだ時間は、必ずしも順調なものばかりではありませんでした。しかし、失敗や困難を乗り越える中で培った力は、皆さんの将来において大いに役立つでしょう。自己成長を続け、持ち前の努力と情熱を持って、次なるステージへ進んでいってください。終業式を迎えることで、皆さんは夏休みへと突入します。この時間を有意義に過ごし、自分自身の充実を図ってください。休暇中も学びの機会はたくさんあります。自己啓発や読書、地域のボランティア活動など、自分の興味や関心を追求する時間を大切にしてください。
 ここに披露した式辞は、私が、生成AI「チャットGPT」に問い掛けて、わずか10数秒で返ってきたメッセージを基に作成したものです。 「チャットGPT」は、今年に入って急速に注目を集め、今月初めには国や県からも教育活動における取り扱いについて通知があったところです。皆さんにとって「チャットGPT」を初めとする生成AIの存在は、今後、避けて通ることができないものだと判断しています。今日は、冒頭の式辞作成を通して、私なりに「チャットGPT」について考えてみたいと思います。
 まず、「チャットGPT」の特徴ですが、AIが読み込んだ膨大なデータから、質問者の問い掛けに応じた内容について「中央値」を瞬時に返して来ます。逆に言えば「はずれ値」は返ってきませんし、読み込まれたデータの真偽の判断や読み込んでない情報を返すことは不可能です。これが現段階における「チャットGPT」の限界です。
 先ほど紹介した式辞ですが、率直に言って、ここには「山崎仁資」が伝えるというはずれ値は存在しないと感じました。確かに式辞としては、内容的にも、一つひとつの言葉を取り上げても問題はないでしょう。しかし、AIには、私自身の個性を活かしつつ、私が、今何に課題を見出し、何を皆さんに伝えたいと思っているのかを慮ることはできないのです。この経験を通じて、これから生成AIをより良く活用していかねばならないであろう皆さんにお伝えしたいキーワードは「選択」と「割り切り」です。
 これから、皆さんが課題に直面し、生成AIにその助けを借りようとする時、皆さんは、まずはどんな問いを立てるのかを「選択する」力、得られた結果を評価してどう行動したり、どう発言するのかを「選択する」力が必要になります。そして、その「選択力」を身に付けるには日々の鍛錬が求められるでしょう。一方で、「割り切って」しまえばAIが出した答えをそのまま受け入れ、多少の誤りがあってもどうせこんなものだと思ってしまえば、その場は凌ぐことができます。しかし、こんな形でAIに頼っていたら、人として進歩できるのでしょうか。「割り切る」のは容易く、「選択する」のは相当の努力と時間を要します。皆さんには、易きに流れて「割り切る」のではなく、苦しくても「選択する」道を歩んで欲しいと思っています。