2022.12.28

浜名高校 2学期終業式


令和4年度2学期終業式に寄せて
 先日、今年の漢字が「戦」であると発表されました。選ばれた理由には、①ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮の相次ぐミサイル発射②円高・物価高・電力不足・感染症など生活の中で起きている身近な戦い③サッカーW杯や北京冬季五輪の熱戦④野球界での記録への挑戦等が挙げられました。

 これまでに選ばれた漢字を見てみると、最多は4回の「金」で、いずれも五輪開催年に選ばれています。また、過去に選ばれた漢字全体を眺めてみると、「愛」「命」「絆」など人と人との深い結び付きから生まれる字もありますが、全体としては「倒」「毒」「戦」「災」「暑」など自然災害や社会不安など負のイメージを連想させる言葉が多いです。どうやら人の心には、1年を振り返った時に、マイナスイメージの方が心に残り易い傾向があるようです。

 それでは、私にとって今年の漢字は何だろうかと問うてみると、「見」という字が思い浮かびました。私は、4月に赴任して来ましたが、本校は、これまでに経験したことのない大規模校で定時制も併置されており、様々な場面で生徒の皆さんが活動しています。ですから、まずはこうした活動をできる限り見て歩こうと思いました。そして、その中から浜名高校の在り様を知ろうと考えました。また、私自身も新たな職場になったり、家族に変化があったりして、改めて自分自身を見つめ直す1年になりました。

 しかしながら、この「見る」ということはそんなに簡単なものではないようです。なぜなら、「見えているもの」が本当に「事実・真実」とは限らないからです。だからこそ、私は「見ているもの」をよく観察し、その背後にあるものを想像しつつ、物事の本質や自分の在り様をしっかり見ていかねばならないと考えています。この年末年始は、この9か月間に自分が見てきたことを一人で整理する時間に充て、来年の学校や自分に活かしていけたらと思っています。

 年末年始、生徒の皆さんの多くは少しは自分の時間ができると思います。どうか自分のこの1年を見つめ直し、来る令和5年を見据える機会をもって欲しいと願います。受験を控えた3年生の皆さんは、そんな悠長なことは言ってはいられないと思っているでしょうが、そんな切羽詰まった時こそ、一人になって今の自分をもう一度見つめてみるのもよいのではないでしょうか。