2022.11.07

浜名高校 同窓生 4回生松井一郎さん


 浜松市浜北区の松井一郎さん(88)が、かつて栄えた浜北の石灰産業の歴史をまとめた冊子「いわみず石灰産業の記録」(B5判、10ページ)を作成した。松井さんは「地元でこれだけの産業が発展していたことを、若い人たちにも知ってほしい」と話す。 (山手涼馬)
 冊子は、浜北での石灰産業の盛衰の記録や明治期からの年表など、十個程度の項目にまとめられている。
 松井さんによると明治初期ごろ、同区根堅の長坂地区に、農業の肥料などで使われる消石灰を作るための窯が初めて完成。1916年に岩水石灰合資会社が設立され、20年にはより大規模な石灰炉を備えた工場を岩水地区に建設した。60年代まで栄え、最盛期には年間5万トン以上の石灰石を近くの山から採掘し、加工していたという。公害問題の表面化や労働者の老齢化などもあり、75年に工場は閉鎖された。
 54年から十五年ほど工場で勤めていた松井さんは、当時の輝きを知る人が少なくなっているのを憂い、「後世に伝えたい」と冊子の作成を決意。元工場長の故・山崎直司さんの回想録を読み解き、約10カ月かけて完成させた。
 松井さんは「明治から昭和にかけて、こんなに努力した人たちがたくさんいたのかと、わかってもらえたらうれしい」と期待した。冊子は今後、順次地元の小中学校などに配布する予定。

松井一郎さんは、高校時代は新聞部の部長さんを勤められていました。現在は地元赤佐7区シニアクラブで活躍、遠州山辺の道の会にも初代会員で活動されています。