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浜名高校 令和4年度1学期終業式に寄せて
今回は、浜北市根堅にある「安産祈願」で有名な岩水寺について紹介します。
岩水寺は、奈良時代に行基(ぎょうき)という僧によって創建されたと伝えられていますが、戦国時代に武田信玄軍に攻められて全山が焼失しました。そのため、古い時代の記録は残っておらず、その歴史も伝承のレベルに止まっています。
このような中、平成22年に当寺の本尊である「地蔵菩薩立像」に初めて学問的な研究が行われました。この像は、秘仏で信仰の対象であるためこれまで一度も調査されてきませんでしたが、像の傷みが激しくなったため、修復を兼ねて調査が行われたのです。その結果、この像が健保5年(1217)に京都の六波羅蜜寺の仏師である運覚が造ったこと、像内に34点の納入品があったこと等、多くの発見がありました。
このたった一体の仏像を様々な角度から丁寧に分析することによって、岩水寺の分からなかった歴史の一部や政治的・文化的な位置付けが確認できたわけです。
このことは、生徒の皆さんの在るべき姿に大きな教訓を与えていると思います。つまり、学習で考えれば演習問題の1題、部活動であれば練習試合の1試合を通じて、皆さんはどれだけの情報を得られているかということです。ただ漠然と問題や試合をこなすことで、本来得られる情報の一部しか手にすることができていないことはよくあることです。皆さんには、情報を得る機会は平等に与えられていますが、それをどれだけ丁寧に研究しているかで成長の度合いに差が付いていきます。
夏休みは、授業がある時と比較して、1つの課題に時間をかけて取り組むことができます。ぜひとも貪欲に情報を得て、実り多き秋となるよう過ごして欲しいと思います。