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浜名高校 3学期終業式
3月18日(金)に3学期終業式を行いました。
今年度も、保護者の皆様、そして、同窓生、地域の皆様には、浜名高校の教育活動に多大なる御理解、御支援をいただきました。心より感謝申し上げます。
以下に、校長式辞で述べた内容を掲載させていただきます。
皆さん、おはようございます。いよいよ3学期終業式の日を迎えました。
この学年での1年間は、皆さんにとって、どんな意味をもつものになったでしょうか。 どんな成長をして、どんな思い出ができたでしょうか。
今年度も引き続き、コロナ対策をしながらの学校生活となりましたが、皆さんの努力のおかげで、浜名高校は休校などの措置もなく、学校生活を継続してくることができました。またいろいろな変更を余儀なくされたものの、今年は、昨年度、実施できなかった文化祭や修学旅行を行うこともできました。そして、皆さんには、この1年、文武両面からの「挑戦」を呼びかけさせてももらいました。浜名手帳の「挑戦シート」には、どんな記入がなされていますか。皆さんの財産となるものが、記入されたでしょうか。コロナ禍の中で挑戦が妨げられる、そんな環境も数多くあったことと思います。いろんな想いや時には葛藤などもあったであろう皆さんが、努力を継続し、様々な場面で笑顔と頑張り、成長をみせてくれたことに、感謝の気持ちです。そして、この1年の頑張りを、今後のさらなる挑戦、新たな挑戦につなげてほしいと思います。
さて、3月1日の卒業式では、362名の卒業生を送り出しました。密を避けるため、在校生の出席がない中での式典となりましたが、校長式辞では、卒業生の3年間の努力に敬意を表するとともに、今後の期待を述べさせてもらいました。でもそれは、卒業生だけでなく、未来に向かって歩む1、2年生の皆さんに対する変わらぬ期待でもあります。今日は、その期待を述べた式辞の部分を皆さんにもそのまま伝えさせてもらいます。
未来に向かっての人生を歩む皆さんへの、私からの二つの期待。
一つは、「感謝の心を持ち続けてほしい」ことです。
私は、みなさんとともに過ごすこの浜名高校で、皆さんからのたくさんの「ありがとうございます」の言葉に多くの喜びを感じてきました。また、たくさんの方々から「浜名の生徒は、親や周りへの感謝の気持ちをしっかりもっている。しかもそれを言葉にできる、本当に気持ちのいい生徒たちですね。」との言葉をいただいてきました。これは、皆さんが、これまで家族をはじめ、周りの方々に温かく見守られ、支えられてきたからこそのこと、そして、皆さん自身がそれを感じながら、素直で、誠実で、教養ある人間として成長してきたからこその、とても素敵なことと感じています。「感謝の念は教養の結実である。粗野の人々の間には見受けられない」とは、イギリスの詩人サミュエル・ジョンソンの言葉ですが、感謝については、他にもさまざまな名言があります。「感謝は人の心を開き、運命を開く」「感謝は、過去を意味あるものとし、今日に平和をもたらし、明日のための展望を創る」「感謝のキャッチボールが幸せのホームランとなる」などです。これからも、ぜひ、感謝の心を持ち続けてほしい。「ありがとう」の言葉を大切にしてほしい。家族やこれまで支えてくれた方々はもちろん、これから出会うであろう大切な人たち、そして、意識しなくても、どこかでつながっている、世の中の多くの人たちの支えになるために。何より、皆さん自身を育て、磨き、運命を開くために。感謝の心をこれからもぜひ大切にしてほしいと願います。
もう一つは、「挑戦」にもかかわること。いまだ見たことのない自分、「『未見の我』に出会う喜びをこれからも積み重ねてほしい」ことです。皆さんがこれから生きていく社会は、人工知能の浸透に象徴されるように、Society5.0といった近未来社会の到来が提唱されています。グローバル化の進展、深刻化する少子高齢化、自然災害、持続可能な社会開発など、多くの課題を抱えています。そして今回のような感染症・疾病への対策、Withコロナ。間違いなく、これまでの枠組みが新しいものへと、転換が進められていきます。そのような時代だからこそ、皆さんのうちに潜む様々な「未見の我」に出会うチャンスも、たくさんあるはずです。時代のうねりや社会に巻き込まれ、翻弄されるのでなく、自ら、学び、挑戦し、変えていく、自己と社会を切り拓く気概とそれを楽しむ心をもってほしいと思います。入学式でもお話した、長州藩士で松下村塾を開いた吉田松陰が、後の明治維新で新しい時代を作っていった弟子たちに語ったとされる、「未見の我」の言葉は、本気で取り組むときにこそ、自分の中に眠っている才能が発揮される。そして、成功であれ、失敗であれ、未だ見ぬ自分、未見の我に出会えたときに、人は感動し成長することができる、との意味であったと解釈されています。若く柔軟な心を持ち続け、本気で取り組みながら、「未見の我」に出会う喜び、人生の醍醐味を味わいつつ、それぞれの道をしっかり歩んでいってほしいと思います。
感謝の気持ちを持ち続けること、未見の我に出会う喜びを積み重ねること、そんな人生を歩んでくれることを願っています。
という、以上が、卒業式で伝えさせてもらった二つの期待の部分であり、そのまま1、2年生の皆さんの今後に対する期待です。
さて、希望の社会科学という「希望学」を提唱する、東京大学 玄田有史教授は、「夢というのが無意識のうちに見たり、飽き足らない気持ちから生まれたりするものであるのに対して、希望は自らの手で見つけるものである。意識的に見たり、苦しい状況だからこそ、あえて持とうとするのが希望である」と述べています。
その玄田教授の著書、「希望のつくり方」から、いくつかの言葉を紹介します。
・人間は苦しい現実のなかでこそ、未来に挑む原動力として、意識的に希望を持とうとする
・幸福と希望は人生に喜びを得るための二つの大きな要素である。幸福は継続を求めるものであり、希望は変化を望むものである。希望は、現状の維持を望むより、よい方向に改善したい、誰かを楽にしてあげたい、など、未来に向かって変化させたいと考えるときに、表れるものである。
・希望を持つためには、厳しい現実から目をそむけないこと。過去から現在までの挫折や試練を正面から受け止めること。ただし、変化を起こすことが一人一人の力だけではむずかしいこともある。同じ変化を希望する人たちと希望をともにしながら、一緒に行動できるかどうかに、変化の実現はかかってくる
・希望は、気持ち、対象、実現、行動の4つの柱からなっている。希望をつくるには、この4つについて考えるとよい。
"Hope is a Wish for Something to Come True by Action (with Others)"
・希望は、個人の内面だけに閉じた問題でなく、社会の在り方と深くかかわっている。そして、希望は、試練を乗り越えるプロセスそのものである。
という、むずかしい内容ですが、希望は与えられるものでなく、自分でみつけるものであり、行動が重要であるというメッセージが伝わってくるように私は思いました。
現在のコロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻。そして、様々な試練や困難な状況がある中で、希望を持つことの意味合いはますます深まるのではないかと思います。そして、皆さんは、これからの自己と社会の未来を切り拓くべき存在です。そんなみなさん一人一人は、これからどんな希望の物語を紡いでくれるでしょうか。
2年生は3年生に進級し、文武両面で勝負の年ともなります。1年生も新入生を迎え、憧れの先輩となり、学校の中心となる役割が加えられていきます。 そして春休みはあっという間です。皆さんには、春休み、この一年を自分自身でしっかりまとめること、文武両道を進めておくこと、来年度へのよりよいスタートを目指して行動することを期待します。
今後の充実した高校生活、そして、皆さん一人一人がすばらしい希望の物語を紡いでいってくれることを願って、3学期終業式の言葉としたいと思います。みなさん、元気でいてください。