2021.12.31

浜名高校 定時制 生活体験文

自信と将来
                           静岡県立浜名高等学校定時制
                                    3年 森田 晨太郎
                                   (アルバイト 20 歳)

僕は中学校の頃、自分の将来に自信を持つことができませんでした。学校
が嫌いで、勉強も嫌いでした。自分自身がとても格好悪く生きているという
自覚はありました。ただ、それがわかっていながら、何もしようとはしませ
んでした。
僕は、子どもの頃から自分に自信を持つことができませんでした。家庭環
境、学校、勉強、バスケットボールクラブなど、とにかく生活の全てが上手
くいきませんでした。これら全てにストレスを感じ、最終的にはその全てか
ら逃げ出しました。生活を一新するために、語学留学を称して海外の親戚の
家に行き、一年間引きこもりました。
しかし、そのような生活も長くは続きませんでした。堪忍袋の緒が切れた
親戚によって、海外の学校に二年間通うことになりました。そこでは少しず
つではありますが、勉強の仕方や色々な経験をすることができました。
その後、日本に帰ってきた僕はアルバイトを始め、自分でお金を稼ぐ大変
さを知りました。また、浜名高校定時制に入学したことで友人ができ、クラ
スメイトや先生から頼られたり褒められたりすることも増えました。こうし
た経験が積み重なったことで、どんどん自信がわいてきて、いつのまにか昔
のコンプレックスは薄れていきました。
コンプレックスがなくなり始めると、色々なことに挑戦するようになりま
した。初めて自分で洋服を買ったり、おしゃれになろうと美容院に行ったり、
自分で髪をセットしたり、配信も始めてみたりと、積極的に人に関わろうと
自分磨きをすることでさらに自信が持てるようになりました。
僕は三修制を利用し三年生で卒業するため、二年生になった時点で将来の
夢について考えるようになりました。
コロナ休みと夏休みが終わり、学校が始まった時点では「就職」か「進学」
か、「どのようなことがやりたいか」など、具体的なビジョンは全く浮かん
でいませんでした。そんな時に友人が「教えるのうまいし、先生になれば?」
と、冗談交じりに言ってきました。友人が冗談半分で言ったのはわかってい
ましたが、僕は人の面倒を見ることが好きで、先生という職業も尊敬してい
たので、友人の言葉は僕に一つの道を示してくれました。しかし、未だに勉
強が好きというわけでもなく、頭がずば抜けて良いわけでもないのに学校の
先生になるというのは難しいと思っていました。
そんな時、担任の先生が数枚の資料を持ってきてくれました。それは訓練
校の紹介資料でした。先生が資料について話している間、僕は一枚のプリン
トに目がいきました。そのプリントには保育士補助養成科の案内が書かれて
いて、何日か迷ったあとで先生の所へ相談に行きました。すると、先生は「今
は男性の保育士も増えているし需要もある」と言ってくれました。その後も、
応募の手続きや見学まで一緒に手伝ってくれて、軌道に乗るまで頼りになる
存在として傍にいてくれました。
訓練校には、保育士を目指して勉強している人が集まっていました。平均
年齢が三十五歳と、僕は断トツで年下でしたが、そんな年齢差を感じないく
らい楽しく学びのある時間をすごすことができました。彼らとは今でも連絡
を取る仲になりました。
訓練校に通っている間は、朝九時から訓練校に登校し、終わり次第高校に
登校するという、「起きている時間はずっと勉強」のような生活でした。し
かし、夢を追うための勉強は、不思議と苦痛を感じませんでした。そうこう
している内に四か月が経ち、保育士として働くという夢の実現に向かって具
体的に人生設計を立てるようになりました。
訓練校での授業が終わり三年生になると、先輩として前に立つ機会が増え
ました。特に生徒会では前で発言をすることも多く、昔の僕だったら緊張で
何もできなかったであろう場面でも無事にやりきれるようになりました。も
ちろん今でも緊張はしますが、その場を「楽しむ」という余裕を持ちながら
取り組めています。
浜名高校に入学してからは、本当に沢山の成功体験を得ることができまし
た。どんなに小さいことであっても、自分の中で成功体験とすることで自信
をつけていきました。自分に自信を持てるようになったことで、もし失敗し
たとしても受け止められるようになりました。この経験を通して僕は、「人
はたとえ小さくても、少しでも多くの成功体験を得ることで変わることがで
きる」ということを知りました。
僕は今年の夏で二十歳になりました。高校生として最後の数か月間は、卒
業生としてだけでなく「一人の大人」として、今後の人生に悔いが残らない
ようにやれることは全部やっていきたいです。
高校に入学してから、僕は様々な選択をしてきました。そして、僕は今、
進路という大きな選択をしようとしています。今の選択に後悔を残さないよ
う、自分で立てた将来設計図や高校生活で得たものを最大限に活かして選択
をしたいと思います。自分自身の将来のために自分磨きを頑張って、昔の自
分に「僕はしっかりやっているぞ!」と伝えられるような自分であり続けた
いです。