2020.12.25

浜名高校2学期終業式


12月22日(火)に2学期終業式を行いました。
  放送にて実施した校長式辞では、コロナ禍の様々な制約の中で、感染症予防対策をとりながら、生徒たちが学習や部活動、生徒会活動等、様々な場面で真摯な姿勢や頑張りを見せてくれたことを高く評価し、お礼を述べました。また、精神科医で小説家の帚木蓬生氏の著書「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」を紹介しながら、生徒たちの努力を称え、今後のさらなる成長を呼びかけました。
  「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」あるいは、「性急に証明や理由を求めずに、不確実や不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」とされるものです。イギリスのロマン主義の詩人ジョン・キ-ツや精神科医ビオンのことに触れ、帚木氏の著書を紹介したのち、生徒たちに呼びかけた内容について、以下に掲載させていただきます。

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  帚木さんの著書には、今の教育は、問題解決の能力等、ポジティブ・ケイパビリティの育成に力を入れているが、「解決できないときにその中で持ちこたえる能力」「踏ん張る力」である「ネガティブ・ケイパビリティ」の重要性をぜひ生徒に伝えてほしいことも記されています。
  今日、「ネガティブ・ケイパビリティ」の話をさせてもらったのは、確かに帚木さんの言うとおりだなあと思ったからです。能力というと何かを成し遂げる力や問題解決する力を意味しがちですが、「ネガティブ・ケイパビリティ」という、持ちこたえる力、踏ん張る力、不確かな状況に身を置いておける力もとても重要だと思ったわけです。また、私たちにとって、訳の分からないことや手の下しようのない状況は不快であり、脳も自分の知識や経験にあてはめて物事を判断したり、答えを導いたりしがち。その中で「ネガティブ・ケイパビリティ」はむしろ努力を要するとても立派な能力と思ったわけです。さらにそれは、まさに、このコロナ禍の中で、私たちに必要とされる力であり、また逆に、コロナ禍により、私たちの中で高められているはずの力でもあると考え、そのことを伝えたいとも思ったからです。
 今現在、自分の日常やあるべき姿、成績、進路、家族、友人のことなど、解決できない、あるいは、解決に時間がかかる状況にいることに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。解決する力はもちろん大事。そのための努力も大切。でも、解決すること、答えを早く出すことだけが能力ではない。解決しなくても持ちこたえていく。消極的、ネガティブに見えても、踏ん張ることができる。実はそれは立派な能力であることもぜひ、みなさんに意識してほしいと思います。
 さて、年が明けて、共通テストに臨む3年生は、不安や緊張も高まっていくことと思います。でも、それはこれまで努力してきたからこそのことです。皆さん自身が培ってきた、解決する力の「ポジティブ・ケイパビリティ」と「踏ん張る力」としての「ネガティブ・ケイパビリティ」で、ぜひ不安や緊張に打ち勝ってほしい。頑張ってほしいと思います。
  令和に入って、2回目の新年がやってきます。みなさん一人一人にとって、いい年になりますように。そして、3学期は、あっという間に時間が過ぎます。自分自身の文武両面からの「挑戦」の達成を、そして1年間の締めくくりを、みんなでしっかり頑張っていきましょう。
  みなさんの頑張りと素晴らしい年を迎えられることを願って、終業式の言葉といたします。健康で、よい年を迎えてくださいね。また3学期、元気で会いましょう。