2019.09.21

生活体験文 校定時制 4年 佐藤ゆうじ さん


「オレにとっての、浜名高校定時制」

静岡県立浜名高等学校定時制 4年 佐藤 ゆうじ (アルバイト 19 歳)

私は、高校4年生です。高校生として過ごすことができる時間は、もう残 りわずかです。でも、そのことで私は決して焦ってはいません。また、私と 同年代の仲間には、高校をすでに卒業している人もいます。しかし、自分が まだ高校にいることを、私は後悔してもいません。 私は、高校生、いや、この浜名高校定時制の生徒として4年間で得たもの に、とても満足しています。そして、心の底から感謝をしています。「高校 を卒業したらどんなことを学ぼうか?」「卒業後の生活はどんなものになる だろうか?」想像していると、なんだかワクワクしてきます。こんなにも楽 しい将来への見通しを、私が持てるようになったのも、この定時制での充実 した生活があったからこそだ。私は今、そんなふうに考えています。

中学校を卒業し、高校に入学してから一週間も経たないうちに、私はアル バイトを始めました。当時の私がアルバイトを始めたのは、「お金に困って いたから」というわけではありません。また、「買いたい物があるから」と いうわけでもありませんでした。それは、私と兄弟たちを育ててくれた両親 に、恩返しをしたかったからです。両親は、工場などのキツい仕事で体を壊 しつつ、苦労しながら私たちを育ててくれました。そんな両親に、私はもう 苦労をかけたくなかったのです。 私の初めてのアルバイトは、ファミリーレストランの厨房の仕事でした。 最初の頃は、6時間ずっと皿洗いということもありました。また、いろいろ な料理を教わることになったのですが、覚えなければいけないメニューの量 がとにかく多く、ほんとうに大変な思いをしました。その頃は、学校との両 立が苦しくなりました。ラーメン屋でアルバイトを始めた親友と励まし合い ながら、なんとか学校を続けることができたのを覚えています。

それから時は流れ、私は他にもさまざまなアルバイトを経験しました。工 場だったり、現場だったり、塗装やスーパーなど、他にもいろいろなアルバ イトをしましたが、私はそれぞれのアルバイトで、良い人や苦手な人、いろ んな人に出会い、それぞれの人から、いろんな考え方や生き方を学びました。
その中でも特に、工場に勤めていた高校一年生の後半の頃のことは、今で
もよく思い出すことができます。その頃は、とにかくアルバイトが大変でし た。学校に行くことがとにかく辛く、学校へなんとか行ったとしても、とに かく疲れて、授業中はひたすら爆睡してしまうような状況でした。 しかし、そんな状況になってみると、これまでよりもいっそう、両親のこ とが誇らしく思えるようになりました。両親は、工場に勤めて、こんなに大 変な仕事を 20 年以上もずっと続けてきたのですから。そして、両親のこと を思うと、「オレも負けていられないな」と、なんだか元気付けられるよう な気持ちになりました。そんなふうに思ったからか、私はアルバイトや学校 を毎日がんばることができました。「両親は、ほんとうにすごい人たちだ。」 今でも私は、そう思っています。

ところで、仕事をしながら学校に通うのは、大変だけど苦労ばかりという わけではありません。初めての給料で、親友と一緒に買ったスケボーは、い まだに忘れられません。そのスケボーには、その後だいぶお世話になったの です。また、居眠りをする仲間と、たがいに起こしながら受けた授業。体力 を絞りながら受けた授業の後の、バスケットボール部。気力体力が底をつい た状態なのにもかかわらず、先輩たちと放課後に、毎日楽しく汗を流し、練 習に打ち込みました。たまに、ご飯をおごってもらったりもしました。今で は懐かしい思い出です。他にも、紹介したいエピソードが山のようにありま すが、原稿用紙が何枚あっても足りないような気がします。振り返ってみれ ば、苦労はたくさんしたけれど、けっこう楽しい思い出ばかりなのです。

確かに、仕事をしながら高校に通うのは大変です。正直、「今日学校ダル いなあ」とか、「そろそろもう、諦めようかな」って思うこともあるかもし れません。でも、そういうときは周りを見て、思い出してみてください。「が んばってるいるのは、自分一人じゃない」ってことを。「周りの仲間もみん なも、一緒にがんばっているんだ」ってことを。私は、いろんな無茶をして きました。けれど、私はがんばってきたことを一度も後悔したことはありま せん。一人でコツコツした努力は私のためになり、仲間とした努力は一生の 思い出になりました。 入学したときは、「4年間なんとかやりながら、高卒資格が取れさえすれ ばいい」と思っていました。けれど、私のそんな愚かな考え方が恥ずかしく 思えるくらい、私は数え切れないほどの思い出と、かけがえのない仲間、人 としての正しいありかたを、この浜名高校定時制で習得しました。そのこと に、今はとても感謝しています。 「一緒にいてくれたみんな、どうもありがとうございました。」