2019.08.15

令和元年度 「浜名高校だより ~風をとらえて~ Take Wing!」 巻頭言


「未見の我」に出会い「志はるか」な未来へ
                                                      校 長 三 科 真 弓

 
  浜名高校の校訓「志はるかなれこそ 若き日をかくこそ惜しめ」は、詩人三好達治作詞の校歌の一節からとったもので、「高きを求めて文武両道に励む」という本校の教育目標を象徴しています。
  「平成」から「令和」へと向かう今年度、校訓を意識しながら、入学式、始業式で「『未見の我』に出会うこと」を生徒たちに呼びかけました。「未見の我」というのは、江戸時代から明治時代へと動く幕末の動乱期に、長州藩士であり松下村塾を開いた吉田松陰が、高杉晋作や久坂玄瑞など、後に明治維新につながる重要な働きをし、新しい時代を作っていった弟子たちに語ったとされる言葉です。「いまだ見たことのなかった自分を目指しなさい。心は熱く、本気でやってみなさい。必ず達成します。運命を作りなさい。」との内容であったと伝えられています。言い換えると、毎日をなんとなく過ごすのでは「未見の我」に気付くことはできない。「未見の我」に気付くためには、何かに本気で取り組み、外からの刺激に触れて、自分自身を見つめ直さなければならない。本気で取り組むときにこそ、自分の中に眠っている才能が発揮される。成功であれ、失敗であれ、未だ見ぬ自分に出会えたときに、人は感動し成長することができる、との意味だと解釈されています。
  浜名高校は、そんな「未見の我」に出会うことのできる学校です。朝の凛とした雰囲気の中で始まる課外学習や朝読書。落ち着いた中にも真剣なまなざしや対話で進む授業。放課後の活気に満ち溢れた部活動。同じく放課後等の進路実現に向けて黙々と励む自主学習。「浜名祭」をはじめとする情熱と躍動の学校行事。そして、かけがえのない友との交流。校内にはいたるところに「未見の我」に出会うであろう、生徒たちの本気と頑張りが溢れています。現在のさわやかな挨拶や笑顔が行き交う明るく和やかな校風、運動部・文化部の活躍、卒業生が残した素晴らしい進路実績等は、学校生活の様々な場面を通して、生徒たちが校訓「若き日をかくこそ惜しめ」を体現し、「未見の我」に出会ってきた証ではないでしょうか。
  これから進む新しい時代「令和」では、予測が困難な、複雑で変化の激しい社会が到来すると言われています。また、一人一人がその場を動かすリーダーシップを発揮すべき時代であると言われたりもします。そのような時代を担う人材に必要とされるのは、周囲と円滑なコミュニケーションをとりながら、課題の発見や解決に主体的に取り組む資質・能力であり、それを支えるバランスのとれた豊かな人間性です。
  浜名高校における「高きを求めて文武両道に励む」「若き日をかくこそ惜しめ」の日々。生徒の成長を願い支える熱心な先生方と素直でよく努力する仲間とともに過ごす、かけがえのない本気のこの「若き日」が、「未見の我」に出会い、一人一人の「志はるか」な未来へとつながっていることを確信しています。