2019.04.14

入学式

4月9日(火)春のうららかな日差しの中、平成最後(令和元年)の入学式が行われ369名が入学を許可されました。

期待に胸膨らませ、一人一人がとても輝いていました。

平成三十一年度 入学式式辞(H31.4.9)

 暖かな春の日差しを受け、桜の花も咲き誇り、木々の緑も日増しに濃さを増してまいりました。
本日、ここに、公私ともに御多用の中、多くの御来賓の皆様、保護者の皆様の御臨席を賜り、静岡県立浜名高等学校の入学式を挙行できますことは、大きな喜びであり、教職員一同、心より御礼申し上げます。
新入生のみなさん、ようこそ、浜名高校へ。大きな志を抱いて入学された三百六十九名の新入生の皆さんを心より歓迎いたします。ご入学おめでとうございます。
 また、今日の良き日を待ちわび、お子様をいつくしみ育ててこられました保護者の皆様、お子様の御入学、誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
 新入生の皆さん。今日(こんにち)の喜びは、皆さん自身の努力の積み重ねの成果であることはもちろんですが、その陰には、皆さんをいつも温かく支え、励まし、応援してくれた御家族や友人たち、そして多くの先生方の導きと御苦労があったことを忘れないで欲しいと思います。新しい門出にあたり、まず感謝の念を持つ謙虚な気持ちが、これから学ぶ、皆さんの姿勢を作り、学ぼうとする意欲の源(みなもと)になります。そしてもう一つ。皆さんは、自分の意志で本校への進学を希望し、自分の意志で更に学び続けようと決意したものと思います。その決意を持ち続け、自分自身のために、ぜひ前向きに学ぶ姿勢を持ち続けてください。
 さて、本校は、ここ浜北の地に、百年を超える歴史を有する伝統校です。卒業生は二万七千人以上を数え、創立以来これまで、一貫して、地域を支え、社会を支える、有為な人材を輩出する高等学校として、大きな期待が寄せられてきました。
 詩人 三好達治 先生 作詞による校歌の一節でもある、校訓「志はるかなれこそ 若き日をかくこそ惜しめ」は、卒業生の皆様方が築き上げてこられた「文武両道」「躍進浜名」に象徴される、本校の誇る伝統や校風の礎となるものです。
新入生の皆さんは、この校訓のもと、今日から、本校が教育目標として掲げる「高きを求めて文武両道に励む」生徒の一員として、高校生活の第一歩を踏み出すことになります。校風を継承しながら、さらに新しい風を吹き込むことで、尊い年輪を刻んでほしい。そして、プライドと責任をもちながら、この浜名高校で、自分の将来に向けて、充実した高校生活を送ってほしいと願います。
 そのためにも、高校生活のスタートにあたり、今日は皆さんに、三つのことをお願いしておきます。
 一つ目は、「主体的に学ぶ」ということです。高校生の本分は、なんと言っても勉学です。日々の授業を大切にし、本校の生徒として求められる学力、学習習慣を、さらには、これからの時代に必要な真の学力をしっかりと身につけてください。これから皆さんが活躍していくべき「令和」の時代は、政治・経済・社会の様々な分野において、大きな変革が予想されています。前例や常識、過去の成功モデルが機能しなくなる、予測が困難な社会とも言われています。それらの変化に適応するためにも、自分自身を確立し進むべき道を開いていくためにも「主体的に学ぶ」ことが必要となります。三年間の高校生活での学びによって、生涯にわたり継続して自分を高めていくための知の土台を、しっかりと作り上げてほしいと思います。
 二つ目は、「人としての品格を大切にする人間になってほしい」ということです。人の間とかく「人間」は、他者・他人とのかかわりなしでは生きられません。気持ちのいい挨拶をする。信頼関係を築くために、相手を尊重する心をもつ。時には競い合いながら、自分とは違う個性や能力をもった人と上手に関わる方法を身に付けることが大切です。学校には、集団で取り組む多くの機会があります。力を合わせて取り組んでほしい。仲間の頑張りや成功に心からの拍手を送り、友の失敗に励ましの声をかけることのできる心をもってほしい。そうした努力や心の持ち方により、一生の友や、互いに成長できる関係や集団が作られます。人としての品格を磨き、成長し、人間としての力を高めてほしいと思います。
三つめは、「自分らしさを求め、可能性に挑戦してほしい」ということです。みなさんに、「未見の我」という言葉を送ります。未来の未、見るの見と書く「未見の我」は、「いまだ見たことのない自分」「自分が知らない自分」という意味の言葉です。今年は「平成」から「令和」へと変わっていきますが、この「未見の我」は、江戸時代から明治時代へと変わる、幕末の動乱期に、長州藩士で松下村塾を開いた吉田松陰が、後に明治維新につながる重要な働きをすることになる自分の弟子たちに向かって言ったというのが、この「未見の我」の言葉です。「いまだ見たことのなかった自分を目指しなさい。心は熱く、本気でやってみなさい。必ず達成します。運命を作りなさい。」との内容であったと伝えられています。言い換えると、毎日をなんとなく過ごすのでは「未見の我」に気付くことはできない。気づくためには、何かに本気で取り組み、外部の刺激に触れて、自分自身を深く見つめ直すことが必要である。本気で取り組むときにこそ、自分の中に眠っている才能が発揮される。そして、成功であれ、失敗であれ、未だ見ぬ自分に出会えたときに、人は感動し成長することができる、という意味だと解釈されています。
「令和」の時代に活躍すべきみなさんは、未知の可能性に満ちています。一人一人が自分でも気づかない素晴らしい能力や個性を持っています。しかし、それはあくまで可能性ですから、引き出して磨かなければ優れた個性や能力として伸ばすことはできません。高校三年間は、様々な活動を通して、時には失敗から学びながら、自分の個性や能力を発見し、可能性を実現していく時です。授業、部活動、学校行事、生徒会活動、さらには、ボランティア活動や地域での活動などで、様々な人たちとの交流を通して、自分を見直し、新しい自分を発見してほしいと思います。意欲を持って取り組んでいったとき、初めて自分の「良さ」や「何に向いているのか」といった適性も見えてきます。そこから自信も生まれ、将来の進路につながっていきます。挑戦することで、自分らしさ、可能性をしっかり求めてほしいと思います。
以上の三つ、主体的に学ぶこと、人としての品格を大切にすること、自分らしさを求め、可能性に挑戦し、「未見の我」に出会うこと、皆さんのこれからの浜名高生としての生活が、素晴らしいものとなることを願っています。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。今日から私たち教職員がお子さまの教育に当たることになります。子供たちが立派に成長し、自立し、社会に貢献できる人間となるように、教職員一丸となって全力で教育活動に取り組みたいと思います。
御家庭と十分連携を取りながら、お子さまの教育に当たってまいりますので、本校の教育活動に、御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 結びに、本日入学しました三百六十九名の皆さんの高校生活が、実り多いものとなり、三年後、希望と夢を持って大きく羽ばたいていくことを願うとともに、本日御臨席いただきました皆さまの格別の御支援をお願い申し上げ、浜名高等学校入学式式辞といたします。

    平成三十一年四月九日 
静岡県立浜名高等学校
校 長 三 科 真 弓