2019.04.17

定時制入学式


平成三十一年度 入学式式辞(H31.4.9)定時制

 暖かな春の日差しを受け、桜の花も咲き誇り、木々の緑も日増しに濃さを増してまいりました。
本日、ここに、公私ともにご多用の中、多くの御来賓の皆様、保護者の皆様の御臨席を賜り、静岡県立浜名高等学校・定時制課程の入学式を挙行できますことは、大きな喜びであり、教職員一同、心より御礼申し上げます。
 ただいま入学を許可いたしました、三十七名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの入学を心から祝福し、歓迎いたします。また、今日のよき日を待ちわび、お子様をいつくしみ育ててこられました保護者の皆様、お子様の御入学、誠におめでとうございます。   
さて、本校は、ここ浜北の地に、百年を超える歴史を有する伝統校です。定時制課程は、七十年前の昭和二十三年に設置され、これまで多くの先輩の方々が、仲間とともに学び、御卒業されました。そして、地域はもとより、県内外において幅広く御活躍されています。
 新入生の皆さんにも、ぜひ、先輩たちの後に続いてほしい。詩人 三好達治 先生が作詞された校歌の一節でもある、校訓「志はるかなれこそ 若き日をかくこそ惜しめ」のもとで、将来に向けて、目標をもって、充実した高校生活を送ってほしいと思います。そのためにも、皆さんの入学、高校生活のスタートにあたり、私から、皆さんに期待する三つのことをお伝えします。
 まず一つ目は、「夢を持ち、達成した姿を思い描く」ということです。これからの生活において、勉強や学校生活、仕事がうまくいくかどうかは、心に目指すところ、つまり、本校の校訓にある「志」を立てているか否か、その姿を思い描けているか否かによります。それは、将来尽きたい職業で生き生きと活躍している自分の姿でもいい、家族を支えている姿でもいい、あるいは3年後、4年後の卒業式の自分の姿や、高校の新しい仲間と活動している姿でもいいし、一年間、欠席なくすごした姿でもいい。自分の目指すものとそれを達成した姿をしっかり心に思い描くこと、それが、皆さんのこれから始まる高校生活を支え、充実したものにしてくれるはずです。
 二つ目は、「何事もまずは続ける」ということです。人間には、思いを形にしようとする「意志」があります。その意志に従って、「これだけはやりたい、成し遂げたい」という、願いや思いをどこまでも大切にし、続けてほしいと思います。また、皆さんは、このたび、こうして浜名高校に入学しましたが、卒業についても、なんとしても続ける、やり遂げるという、「強い意志」が必要となります。校訓にある「若き日をかくこそ惜しめ」です。高校生活という限られたときを、大切に、まずは、高校生活でやるべきことを続けることから始めてほしいと思います。
 三つ目は、「挨拶する、感謝の気持ちを伝える」ということです。人間は他者・他人とのかかわりなしでは生きられません。学校生活を送る上でも、まず大切となるのが、よりよい人間関係を作ることです。「おはよう」「こんにちは」「ありがとう」の言葉はとてもうれしいものです。友達同士で、また、先生方、家族、仕事をしている人は職場の人たちに、自分から進んで挨拶やお礼の言葉を伝えましょう。それができる人は、自分のことも、人のことも大切にできる人、人間として尊い人であると思います。周りの人たちと豊かな人間関係を築き、高校生活の中で、生涯の友も作ってほしいと思います。
この3つ、「夢を持ち、達成した姿を思い描く」こと、「何事もまずは続ける」こと、「挨拶する・感謝の気持ちを伝える」ことを心に刻みながら、毎日の勉強や部活動、学校行事に励み、有意義な高校生活を送ってほしいと思います。
みなさんに「未見の我」という言葉を送ります。未来の未、見るの見と書く「未見の我」という言葉。意味は、「いまだ見たことのない自分」「自分が知らない自分」という意味です。今年は、「平成」から「令和」へと変わっていきますが、この「未見の我」という言葉は、百五十年くらい前、日本が江戸時代から明治時代へと動いていった頃の幕末の動乱期に、長州藩士、今の山口県の藩士であった吉田松陰が、後に明治維新で重要な働きをし、新しい時代を作っていった自分の弟子たちに言ったという言葉です。「いまだ見たことのなかった自分を目指しなさい。心は熱く、本気でやってみなさい。必ず達成します。運命を作りなさい。」との内容であったと伝えられています。
みなさんは、可能性に満ちています。一人一人が自分でも気づかない素晴らしい能力や個性を持っているはずです。そんな自分に出会ってほしい。5月からはじまる「令和」という、新しい時代を生き、活躍すべき皆さんです。浜名高校において充実した学校生活を送ることで、自分の可能性をみつけ、「いまだ見たことのなかった自分」である「未見の我」に出会い、運命を切り開いてくれることを、心から期待しています。
最後になりましたが、保護者の皆様にお願いを申し上げます。本日お預かりいたしましたお子様の教育に、教職員一同、全力を尽くして当たってまいる所存でございます。どうか、保護者の皆様におかれましても、学校への力強い御支援・御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
結びにあたり、新入生の皆さんの学校生活が、実り多いものとなり、やがて希望と夢を持って大きく羽ばたいていくことを願うとともに、本日御臨席いただきました皆さまの格別の御支援をお願い申し上げ、入学の式辞といたします。

    平成三十一年四月九日 
静岡県立浜名高等学校
校 長 三 科 真 弓