2019.03.06

平成30年度第71回卒業証書授与式(全日制課程)


平成三十年度 第七十一回卒業証書授与式 式辞

 校庭の木々の蕾もほころび始め、北遠の山並みに若々しい春の気配が満ちゆく今日の佳き日、ここに、多数のご来賓、保護者の皆様をお迎えして、静岡県立 浜 名 高等学校 第七十一回 卒業証書 授与式を、かくも盛大に挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生、教職員にとりましても、大きな喜びでございます。ご多忙の中、ご臨席を賜りました、ご来賓の皆様方には、巣立ち行く卒業生の門出に、華を添えていただきましたこと、高い席からではございますが、厚くお礼を申し上げます。また、卒業生の保護者の皆様、本日は、誠に、おめでとうございます。先ほど、各HR担任からの呼名を受けて、誇らしげに立つお子様の姿を目の当たりにされ、これまでのご苦労が一瞬のうちに思い浮かぶと同時に、その上に乗った大きな願いが叶った喜びで、さぞかし感慨もひとしおかとご推察申しあげます。また、この間、本校の教育活動に、ご理解、ご協力を賜りましたこと、教職員を代表いたしまして、改めて厚くお礼を申しあげます。
 さて、只今、卒業証書を授与しました三百六十一名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう!顧みると皆さんは、平成二十八年四月、夢と希望に胸を膨らませて、本校の門をくぐりました。以来三年間、校訓 「志はるかなれこそ、若き日をかくこそ惜しめ」のもと、浜名高校といえば「文武両道」と、誰もが認める本校の特色ある教育活動の中で、学習や部活動、学校行事等に全力で取り組み、仲間との友情や、先生方との良き師弟関係を結び、深め合いながら、充実した高校生活を過ごしてきました。真剣なまなざしが溢れる授業、各種大会で実績をあげる部活動、活気に満ちた学校行事、校舎内にさわやかな挨拶と笑顔が行き交う、明るく朗らかで落ち着いた学習環境、これら、現在の、本校ならではの誇るべき校風は、卒業生の皆さんが、この三年間、高い志と大きな夢を持ち、それを叶えるために高校生活の一日一日を大切にしようと、青春の情熱を燃やし、時に、後輩たちの良きお手本となることで、築き上げてきたものです。とはいうものの、今振り返ってみれば、皆さん一人ひとり、ここまでの道のりは、決して平坦なものばかりではなかったことと思います。高校生活への真剣な取り組みゆえに、成功の喜びや感動があった一方で、時には、思い通りにならない悔しさ、さらには、躓いたり悩んだりしたこともあったことでしょう。しかしながら、その一つひとつが、高校生活の貴重な経験です。何ものにも換えがたい青春の一ページともいえるものです。いずれにしましても、皆さんとって、そのような、浜名高校での高校生活は、生涯にわたる貴重な財産となるものと信じています。どうか、今日のこの卒業の日の感慨を終生忘れることなく、本校を卒業したということに、自信と誇りを持ってください。
 改めて確認するまでもないことですが、これから皆さんを待ち受ける日本の社会は、AIやIOTなどに代表される科学技術の急速な発展により、第四次産業革命後  の社会とも言われるSociety5.0といった近未来社会の到来が提唱される一方で、グローバル化の進展はもちろん、ますます深刻化する少子高齢化、また過去数年にわたって国内各所で甚大な被害をもたらしている自然災害への対策など、多くの課題を抱えています。この先は、間違いなく、社会の中の様々な分野において、旧来の枠組みが新しいものへと、その転換が求められることでしょう。このような時代だからこそ、卒業生の皆さんには、この浜名高校で身に付けた、「文武両道」「知・徳・体」の、バランスの取れた自らの人間性を土台として、それぞれの進む道を、着実に、そして、時に果敢に進み、切り開いて行ってほしいと思います。
 そのような願いを込め、今日は、本校の校訓の原文ともなっている、昭和三十一年に制定された、詩人三好達治先生による本校校歌の第四節を、改めて、皆さんと確認することで、私からの はなむけ としたいと思います。
 校歌第四節
   志     はるかなれこそ 
   若き日を  かくこそ惜しめ
   遠江    遠の大野を  
   見はるかす 群山のうへ
   いや清ら  富士の高嶺は
 その大意は次の通りです。 こころざしは、遥か高く持ちなさい。 そして、若い日を大切にして務め励みなさい。 遠江の広く開けた野のかなたを見渡せば、山々のうえにこの上なく清らかな姿をした富士の高嶺が聳え立っているではないか。
 当然のことながら、皆さんは、まだまだ若い、そしてその精神は、いつまでも、若く、あり続けるべきです。本校の卒業生として、どうか、この校歌第四節の持つ意味を、末永く心に留めながら、繰り返しになりますが、自らのこころざしを、富士山のように清く、遥かに高く持って、また、持ち続けて、この先は、社会のために有意な人物となるよう、大きく成長していただきたいと思います。
 結びに当たり、本日、ここに、本校、卒業生を送り出すにあたり、これまで、多大なご支援、ご協力を 賜りました、同窓会、後援会、学校評議員、PTAをはじめとする、学校関係者の皆様方、また、中学校や自治会をはじめとする、地域の皆様方に、改めて、衷心より、お礼を申し上げます。そして、何よりも、高きを求めて文武両道に励み、高校生活という限られた時間の中で精一杯自分を磨き、貴重な体験を積んで、この浜名高校を巣立っていく、三六一名の卒業生の皆さんの、その前途が、洋々、たるものとなり、幸多かれと、祈念して、式辞といたします。


                       平成三十一年三月一日
静岡県立浜名高等学校 
校長 加 藤 洋 一