2018.03.07

平成29年度 第70回卒業証書授与式


 花の香り漂う、春の息吹を感じる今日の佳き日、ここに、多数のご来賓の方々、保護者の皆様をお迎えして、静岡県立 浜 名 高等学校 第七十回 卒業証書 授与式をかくも盛大に、挙行できますことは、卒業生は もとより、本校教職員にとりましても、大きな喜びでございます。ご多忙の中、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様方には、巣立ち行く卒業生の門出に、華を添えていただきましたこと、高い席からではございますが、厚くお礼を申し上げます。また、卒業生の保護者の皆様、本日は、本当におめでとうございます。人の一生の中でも、最も多感で、しかも著しい成長期にあるお子様が、こうして、本日、卒業の日の慶びを迎えられましたことは、さぞかし感慨もひとしおかとご推察申しあげます。皆様のお子様は、この浜名高校での高校生活を経て、心身ともにたくましく、頼もしい青年に成長いたしました。この間、本校の教育活動に、ご理解、ご協力を賜りましたこと、教職員を代表いたしまして、改めて厚くお礼を申しあげます。
 只今、卒業証書を授与しました卒業生の皆さん、卒業おめでとう!今こうして卒業に臨み、皆さんの脳裏にはどのような思い出が去来しているでしょうか。仲間と共に青春のエネルギーを燃やしながら、目標にむかって懸命に努力を積み重ねた 部活動のことでしょうか。新しい知識の習得や自らの進路実現に向けて直向に励んだ勉学のことでしょうか。高校生らしい瑞々しい感性と感動を 分かち合いながら、友との友情を深め合った「浜名祭」や体育大会、修学旅行などの学校行事のことでしょうか。そのいずれにおいても、皆さんは本当に一生懸命でした。皆さんの高校生活には、詩人三好達治先生による校歌の一節でもある本校の校訓 「志はるかなれこそ、若き日をかくこそ惜しめ」が指し示すとおり、“高い志と大きな夢をもち、それを叶えるために青春の一日一日を大切にしよう” とする姿勢が随所に見られました。皆さんとって、この浜名高校での高校生活は、生涯にわたる貴重な財産となるものと信じています。どうか、今日のこの卒業の日の感慨を終生忘れることなく、本校を卒業したということに、自信と誇りを持って、この先は、社会のために有為な、信頼される人物として、さらに大きく成長していただきたいと思います。と同時に、皆さんが本日手にした卒業証書は、一人ひとりの努力によって得られたことはもちろんですが、その陰には、深い愛情を持って見守ってくださった家族の方々や、先生方、友達、更には同窓会、後援会、地域の方々など、多くの人たちの励ましや支えがあったことを、ぜひ心に刻み、感謝の気持ちを思い起こしてください。
 さて、改めて確認するまでもないことですが、これから皆さんを待ち受ける日本の社会は、グローバル化の進展はもちろんのこと、人工知能(AI)や、いわゆる“もののインターネット”といわれる(I0T)の急速な普及などにより、社会全体の中で、これまでの旧来の枠組みが、近未来を見据えた 新たな枠組みへと大きな転換が求められています。そして、このような時代だからこそ、次代を担うべきリーダーとなる皆さんのような若者には、これまで以上に、創造性に富んだ若い叡智と果敢な実行力の発揮が期待されています。そのような思いから、私は本年度、集会の折、皆さんに、「高校生活の中に自主性、主体性を持とう」、「人として小さくまとまらず 視野を広げよう」、「社会の急速な変化と結び付けて自分の将来を意識しよう」、という内容の話をしてきたつもりです。今日は、それに続くものとして、「アラン・ケイ」というアメリカの著名なコンピュータ科学者の格言を紹介して、皆さんへのはなむけの言葉としたいと思います。「アラン・ケイ」は、通称「パソコンの父」と言われ、まだ大型のコンピュータしか存在しなかった 時代に、個人で使う「パーソナル コンピュータ」という概念を提唱し、今日の地球規模に展開されている情報化社会の推進に大きな役割を果たした人物です。教育者としての活躍も有名な彼は、そのような自らの業績を踏まえた上で、「未来を予測する最善の方法は、自らそれを創り出すことである」という言葉を私たちに残しています。繰り返しになりますが、皆さんを待ち受けているこれからの社会は、時に、前例や常識、過去の成功モデルが機能しなくなる、まさに、その未来を予測することが困難な時代が到来すると言われています。皆さんには、是非、この「アラン・ケイ」が、これからの社会を担うべき若者たちに対して、予言のように残している言葉、「未来を予測する 最善の方法は、自らそれを創り出すことである」が指し示すとおり、それぞれの進路先で、自らの進むべき道を、果敢に切り開いて行ってほしいと願います。
 結びに当たり、本日、ここに、本校、卒業生を送り出すにあたり、これまで、多大なご支援、ご協力を 賜りました、同窓会、後援会、学校評議員、PTAをはじめとする、学校関係者の皆様方、また、中学校や自治会をはじめとする、地域の皆様方に、改めて、衷心より、お礼を申し上げます。そして、何よりも、高きを求めて文武両道に励み、高校生活という限られた時間の中で精一杯自分を磨き、貴重な体験を積んで、この浜名高校を巣立っていく、三六二名の卒業生の皆さんの、その前途が、洋々、たるものとなり、幸多かれと、祈念して、式辞といたします。

平成三十年三月一日
静岡県立浜名高等学校 
校長 加藤 洋一