2017.03.07

第69回卒業証書授与式


-答辞-

 長く厳しかった冬もようやく終わりを告げ、春の息吹を感じる今日の良き日にこのような盛大な卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます。
 三年前、新入生として期待と不安を胸に、この体育館で行われた入学式がまるで昨日のことのように鮮明に思い出されます。厳しい集団行動や慣れない部活動に何度も心が折れそうになり、中学に戻りたいと思った時もありました。そんな中、初めての浜名祭では、学年全員が協力してビッグパネルを作り上げました。新しい友達もでき、高校生活にも慣れやっと浜名の生徒になったという自覚を持ったのもこの頃でした。
 入学してから一年が経ち、迎えた二年生。一番の思い出といえばやはり修学旅行です。沖縄ならではの伝統や文化、美しい自然の中で時が経つのも忘れるほど、存分に楽しんだ四日間。友と過ごしたあの時間は忘れることのできないかけがえのない思い出となりました。
 そして高校生活最後の年となった三年生。進路決定を控え、それぞれが自分の目標に向かって歩き始めました。このような中でも行事では思い切り楽しみました。たくさんの笑いが生まれ、例年以上の盛り上がりをみせた浜名祭。部活動で忙しい生徒も時間を作り、クラス一丸となって取り組みました。天候が心配される中、行われた体育大会。全員が懸命に競技に取り組み、途中、雨に降られながらも、最後まで競技を行うことができました。もう二度とこのような経験はできないと思うと、寂しい気持ちでいっぱいです。
 高校生活で一番の思いでは部活動です。ほとんど毎日が練習で、サッカー漬けの日々。一年生の頃は三年生に兄がいて、周りに比べられるたびに悔しさが溢れ、いつもは身近な存在でありながら果てしなく遠いその背中を追いかけて、日々練習に励んできました。そして、自分たちの代になり、冬の遠征や夏の合宿、多くの困難を乗り越え始まった選手権。それぞれが一年生の時からのすべてをこの大会に注ぎました。しかし、大会が進んでいく中、チームの勝利に喜びながらも、試合に出られない悔しさを持った自分がいました。試合に出て仲間と共に戦いたい。日に日にその思いが強くなっていきました。しかし、最後まで選手権のピッチに立つことはできませんでした。数え切れないほど悔しい思いやつらい思いをした三年間。メンバーに入れず諦めそうになった時期もありました。それでも最後まで目標に向かって走り続けることができたのは、懸命に戦う仲間の姿があったからです。全員が試合に出れるわけではありません。選手と選手を支える者が互いに信じ合い励まし合うことでチームに絆が生まれたと思います。最後に敗れはしましたが、同じ目標に向かって仲間と共に過ごした日々はかけがえのないものとなりました。またいつの日か、あのメンバーでサッカーがしたいです。
 思い返せば瞬く間に過ぎた三年間。この浜名高校で得た一番の財産は、ここにいる「仲間」です。たくさんの時間を共有したあたりまえの日々が思い出に変わってしまうと思うと寂しくて仕方がありません。楽しい思い出ばかりではなかったはずなのに、今では仲間たちとの笑顔の日々しか思い出せません。みんなと出会えて本当に幸せでした。
 そんな幸せな高校生活を送ることができたのも、支えてくれる人がいたからです。浜名高校には生徒にも負けないくらい個性的な先生方がたくさんいらっしゃいます。時に厳しく、時に優しく、私たちを指導してくださいました。私たちが無事に卒業を迎えることができたのも先生方を始め、多くの方々のおかげです。本当にありがとうございました。
 また、忘れてはならないのは両親の存在です。どんな時もそばで見守り、支えてくれた両親には、この場を借りて感謝の気持ちを伝えたいと思います。これまで本当にありがとうございました。
 在校生の皆さん。私たちは皆さんにとって良き先輩だったでしょうか。高校生活は本当にあっという間に過ぎてしまうものです。今を大切に、仲間を大切にそして自分を大切に、どこまでも真っ直ぐに歩んでいってください。皆さんでしたら、より良い浜名高校にしてくれると確信しています。
 これから先、私たちは日本社会を支えていく立場となります。2020年には東京オリンピックが開催されます。多くの国から人が集まる中、人種や性別、宗教などあらゆる面での違いを認め合うことで、社会は進歩していくはずです。私たち一人一人ができることは限られていますがその一つ一つには必ず意味があります。私たちの未来を、そして日本の未来を、自分たちの手でより良くしていきたいです。
 さて、いよいよ旅立ちの時が近づいてきました。三年間共に過ごした仲間とも、お世話になった先生とも、そしてこの浜名高校とも今日でお別れです。
 私たちの中には、社会に出て働く者もいれば、大学に進学する者もいます。この先、つらいことや苦しいこともあるでしょう。しかし、私たちは大丈夫です。浜名高校で培った精神と、仲間との絆が私たちを支えてくれるはずです。
 それぞれ進む道は違いますが、
 「志はるかなれこそ若き日をかくこそ惜しめ」
 この浜名高校の校訓を胸に掲げ、前を向いて学び舎を旅立ちます。

 最後になりましたが本日ご臨席を賜りました御来賓の皆様、校長先生を始め多くの先生方のご健勝並びに浜名高校のますますのご発展をお祈り申し上げ答辞と致します。


 平成二十九年三月一日
 
 静岡県立浜名高等学校  
    第六十九回卒業生代表  棚橋 誠

先般行われた卒業式の一コマでした。