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<第一回>新米教師の登場
教師の見た揺籠期の浜名高校:中村 昭
1948年(昭和23年)4月1日、私は静岡県立浜名高等学校に
赴任した。担当は数学である。3月に広島高等師範学校(旧制)
数学科を卒業したばかりであった。
この高校は既存の二つ女学校が新しく組織され発足したもので、
全員が女生徒であった。
そして高校3年生は4名(?)で、それ以外は旧制度に在籍して
いた。
私の世界観、人生観にも影響するような、社会人としての最初の
体験であった。その時、私は歳にして20歳と3ヶ月であった
校長は六浦嘉一郎という私の出た中学校(旧制)校長職を務めた
人であった。私はこの校長に請われて就職したのであるが、賑や
かな浜松市から離れた北浜という町にあり、世間体(せけんてい)
にいうならば、一流校ではなかった。しかし実に楽しい教員生活で
あった。
私は実家(雄踏町)から通勤した。浜松まで汽車(JRの当時の呼
称)で出て、それから電車に乗り換えて貴布祢まで。勿論 車な
ど無い時代だから、雨風の強い日は大変だった。
※このお話は中村 昭先生のご寄稿を9編に分けてご紹介してお
ります。